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公開日
2025/12/19 01:00

2026年1月、justInCaseTechnologiesでは大きな体制変更を実施します。プロジェクトの責任者でもある金さんに、体制変更に込めた思いや、今後目指す姿についてお話を聞きました。
Interviewee:金 誠樹(Sungsu Kim) 開発戦略責任者
エンジニアとして航空業界の航空システム開発や、製鉄工場の大規模基幹システム開発を経験後、NHN/LINEにて役員直下の全社DXプロジェクト責任者として従事。その後、SEGAで海外事業の立ち上げと海外事業向けの開発組織を設立。並行してシリコンバレーの投資先スタートアップの開発責任者も務める。以降は独立し、自身でスタートアップの立ち上げや他スタートアップの事業/開発支援活動などを経験。

現在の開発部門の状況は?
金:当社の開発部門は、今までスタートアップとしていわば「がむしゃら」にやってきたわけですが、会社として次のフェーズに入るための転換期を迎えていると思っています。今このタイミングでしっかりと組織で動ける体制を整えることで、さらなる業務効率化や品質の高度化を目指していけると考えています。
開発部門として今後の方針で特に重視することは?
金:前期までは事業部制で組織が成り立っており、今期からようやく体制を大きく変えファンクション制(各役割ごとにチームを切る)に向け準備が進んでいます。現状、案件が多く多忙なため、ファンクションごとの特性を活かした業務推進のための仕組化が不足していましたが、案件が落ち着いてくる年明けからファンクション制のメリットを活かした活動、業務高度化施策を展開していきたいと思っています。
方針に基づく戦略としてはどのようなことを考えているのでしょうか?
金:「攻めの戦略」と「守りの戦略」の大きく2つの軸で考えています。「守りの戦略」というのは、今お伝えした通り、ファンクションごとに自分たちの役割を定義して仕組みをつくり、ファンクションごとに業務効率化と、品質の高度化を目指すことを指します。一方の「攻めの戦略」は、シンプルにいえば、スタートアップならではのスピード感でビジネスを新たに生み出していくということです。
今後の会社の成長のためにも、守りの戦略で効率化と生産性向上を目指すと同時に、余暇時間、余暇リソースを創出し、攻めに転じられる体制構築や支援を進めることも必要です。いわば、守りの戦略は攻めの戦略を実現するための戦略でもあります。攻めの戦略の第1弾として、年始から新たに POC のチームが立ち上がりますが、そこを開発組織としても支援することで、よりビジネスの創出速度を加速させていくことを考えています。攻めと守り、この2つの戦略をバランスよく進めていくことが戦略の大枠です。
そのベースにある考え方とはどのようなものですか?
金:一般的に、スタートアップの創業時というのはとにかくがむしゃらに動いてどうにかビジネスを立ち上げるわけですが、一定の期間や実績が積みあがったタイミングでは、より効率的に、より品質を高く、という考え方を取り入れて、今後のスケールも念頭に置きながら組織を変えていく必要があります。当社はまさにその段階に入りました。事業の成長フェーズの観点でも、初期から取り組んできたビジネスが一定成果を挙げていて、今後は新たなビジネスの創出にも取り組んでいく必要があるわけで、そのための転換ともいえます。とはいえ、スタートアップですから、これまでのがむしゃらにやっていくという姿勢自体は変わりません。
攻めの開発、守りの開発ということも仰っていますが、より具体的にどのようなものになりますか?
金:戦略もですが、開発についても攻めと守りの二軸で考えています。今回、開発グループとプラットフォームチーム、 PF(プラットフォーム)開発チーム、この3つを共通基盤チームという大きな1つの組織に合体させました。理由は、もちろん守り(品質の高度化等)を強化するためということもありますが、そこからまた新しいビジネス、いわば「攻めの開発」を進めていくための体制を作るという目的があります。分かれていた組織を合体させることによって、特定のメンバーのリソースを「攻めの開発」に持っていくことができるので、より POC を含めた新しいビジネスの創出を早めるための体制が整う姿をイメージしています。
「守りの開発」においては、品質と効率性を上げていくことがもちろん重要ですが、それだけではなく、前述の通りそれによって時間の創出、新たなリソースの創出につなげて、その上で、攻めの開発に転換させていくことがその先の目標です。攻めと守りの両輪で事業の成長を加速させていくということをこれからやっていきたいと考えています。

体制変更にあたり、マネージャーに求めていくことは?
金:マネージャーの育成は当社にとって大きな課題の一つです。これもスタートアップあるあるではありますが、スタートアップの創業期にはそもそも人が少ないこともあり、マネジメントや組織づくりに手が回らないケースがよくあります。ただ、会社がある程度の規模になった今、マネジメントの強化は喫緊の課題です。
マネジメントの強化というと、個人の特性にフォーカスしたピープルマネジメントがイメージされやすいのですが、ピープルマネジメントはあくまでマネジメントの手段の一つに過ぎません。マネージャー研修等については今後人事部門と検討していきますが、「習うより慣れろ」というのが私個人の考え方ではあります。
メンバーに求めることは?
金:当社のメンバーは、大変な時期をみんなで乗り越えてきた実績がありますし、個々人が非常に優秀な人ばかりです。ですからこの先は、一人一人の力をより適切に配分するために、チームとしてどのようにやっていくのかということをマネージャーと話し合いながら進めていって欲しいと思っています。
具体的には、マネージャーへの報連相を意識して、業務の途中経過から完了報告まで含めて、意識的にコミュニケーションを取っていただきたいというのが1点。もう1点は、ほかのメンバーとのコラボレーションを意識してほしいと思います。いくらスキルが高くても一人でできることには限界がありますし、会社や社会など、他者との共存は私たち人間にとって普遍のテーマです。ここでいうコラボレーションとは単純に仲良くしましょうということではなく、プロとしてお互いに得意分野を活かして補完し合う関係を構築していくことを意味しています。 いかに人と交わって、一緒に目標を達成するかを念頭に、そのために自分がどう動けばいいのか、どんな会話が必要なのかを具体的にイメージしながらタスクをこなしていって欲しいと思っています。
人間、生きていればうまくいかないことはありますし、他人に不満を感じることもあるでしょう。そういうときに「どうすればうまく進められるか」を常にポジティブに考える癖を身に着けるというのは、仕事に限らず、生きていく上で非常に重要な能力だと思います。コトに向かい、互いに協力し合うことで、EQを高め合える組織になっていけたらいいですね。
金さんは経営視点を持つ、視座を上げるということも重視されていますが、その点はどのようにお考えでしょうか?
金:方針や戦略を考える上で、経営視点は外せません。経営とはいわば資源の再配分だと考えています。私自身、ボードメンバーの一員として、今会社にどれだけの資源があって、今後の事業にいかにその資源を配分していくべきかということを考えつつ、開発という観点では、どのように組織を設計し、いかにリソースを配分すればコスト効率と品質を両立しながら運用できるかということを考えています。
役割も、持っている情報も違うので、メンバーの皆さんに私と全く同じように考えてほしいというのは難しい話だと思いますが、自分の役割の範囲において、どうしたらより効率良く目標を達成できるかを常々考えていただきたいと思っています。単純に工数を削減するだけでなく、アウトプットの品質も意識しつつ、「全ての要件を満たすためにはどう工夫すべきか?」を現場の皆さんには常々意識してほしいです。また自身だけのことではなく、組織としての役割を理解し、その組織が求めるゴールを達成するために自分はどう動くべきかを組織長と話しながら理解を深めることも、一つの大きな経営視点と言えると思います。
「視座を上げる」ということについてメンバーに伝えたいことは?
金:会社はボードメンバーだけで成り立っているわけでもなければ、現場だけで成り立ってるわけでもありません。会社の成長度合いは、所属する1人1人が経営視点を意識することによって変わります。これは別にいい話をしようとしているわけではなく、1人1人が業務をどう進めるかが最終的なアウトプットに大きく影響するので、日々の積み重ねこそが会社の今後を左右するということです。もう1点は、全体観で考える思考を育ててもらいたいと思います。視座を上げることと視野を広げることは密接な関係が存在しています。視座を上げると見える範囲も広がる(視野が広がる)からです。これらは自身の意識、日々の訓練によっても育むことが可能です。
プロジェクトに参画している場合、どうしても自分の業務・役割に意識がいきますが、意識的に場を俯瞰する癖をつけてほしいと思います。それによって、やるべきことの優先度も見えてくると思いますし、自分がそこでどう動くべきかもつかめるはずです。これが視座を上げることの一例ですが、これによって、一緒に働く仲間をはじめ、さまざまなステークホルダーの立ち位置や事情も見えてきます(=視野が広がります)。
例えば、誰かに依頼した仕事が予定通り進まず、自分の仕事に支障が出ることがあるかもしれません。そういうときに、正論をぶつけて「なぜできないんだ」と感情的に追い詰めるのは「相手に対する甘え」でしかないと思います。誰しも背景や事情があるので、常に期待通りのレスポンスが来るとは限りません。視野が広がると、「(相手には)何か事情があるのではないか」と自然に思えるようになりますし、相手の事情を聞いた上で、どうすればうまくいくかを一緒に考える姿勢を持てるようになると、結果として質の良い仕事ができるようになると考えています。

AI 活用については?
金:ここも、「攻めのAI」 と「守りのAI」 の2つを考えています。そもそもの話ですが、AI は想像以上に0から1を生み出すこと(0→1)は不得意なので、開発の全てをAI に任せられるようになるまでには時間がかかると見ています。
簡単に理由を説明すると、やはり開発の工程ってなかなか難しいんです。家の建築であったり、工場での生産であればある程度決まった型がありますが、開発の場合、お客さまの要件のヒアリングから始まって、要件定義の情報、その要件に対する非機能要件であったりで、そこからまた設計の詳細を詰めていって、さらにコーディングをする上で必要なプログラムのロジック、QA が設計するテストケースの設えなどを検討・構築する必要があります。また、開発したものを動かすためのインフラも様々なベンダーに分れていて、AWS のような分かりやすいインフラから始まって、ミドルウェアであったり、ウェブサーバーであったり、色々なものがあるんですけども、その全ての情報を正しく完璧にAI が認知して理解するところまで持っていかないと AI で0→1の開発は基本的には不可能です。
一方で、AI の得意分野は、固定化された範囲内で作業することなので、そこに対する逆算で AI を活用していきたいなと思っています。
攻めと守り、それぞれの戦略とは?
金:まず「守りのAI」に関してですが、これはナレッジを蓄積していくことに焦点を当てます。システム開発を進める中で、「あの情報どこだっけ?」「この仕様書どこにあったっけ?」となるのはよくある話です。今後は、これらのナレッジをAIに学習させ、ナレッジを貯めていくというのをまず実行したいと思っています。
具体的に、どのようにAIに蓄積していくか(ナレッジマネジメント)も考えながら、「どのような設計を、どのようなアウトプットにして最終的にAIに組み込ませるか」といった一連の流れを含めて、再構築していきたいと考えています。
そういったところから始めて、レビュー関連やヒューマンエラーが起きやすい工程でのAI活用を進めます。具体的には、基本設計という型ができた時に、その内容をAIに確認させ、抜け漏れがないか、情報の過不足がないかをチェックさせます。これによって、確実にレビューの工数や効率を上げられると見込んでいます。もちろん、AIが全てを理解し、常に正解を導き出してくれるとは言い切れません。しかし、人がやってしまいがちなヒューマンエラーに対する補完要員としては、十分に役立ってくれると確信しています。
「攻めのAI」 に関しては、蓄積したナレッジに基づいて、「この技術を使えばこういった施策が打てるのではないか」というところを定期的に事業部側に対して情報共有していきたいと思っています。ビジネスってニーズから建付けを考えていくこともあれば、その逆から生まれるパターンもあり得るので、そういう意味で、より売上を挙げられるようなサービスが創出できる技術情報の共有は「攻めのAI」 としてやっていきたいところです。AI活用に関する方針はある程度打ち出しているので、その施策の部分を今後マネージャーと共に、優先順位をつけてやっていく形になると思います。
会社として開発部に求めていくことは?
金:これは繰り返しになりますが、品質を高めつつ、運用もしつつ、効率化も考えつつ、そして、事業ファーストである、というところは、これから先も変わらないと思っています。では事業のために開発部門ができることが何かというと、少し遠回りな考え方にはなりますが、事業部側がお客さまにアプローチしやすくなるためには、高品質な開発が欠かせません。品質を担保するとともに、障害件数を減らすための工夫を重ねて、高い生産性を持った開発体制を目指すので、そこをまずは念頭に置いてほしいです。
当社は営利企業として売上を上げていく使命があります。それは資源をより獲得するためであったり、今まで我々のために資金を提供してくれた株主のためであったり、もっと広く言うと、我々が上場して、日本の経済を回すエンジンの一つになるためでもあります。そのためにも、品質や生産性については常に意識してほしいですし、そうすることでより高いレベルの仕事ができるようになると考えています。
「攻めと守りの開発戦略」によって開発チームがより機動的に動けるようになることで、お客様にこれまで以上に高品質なソリューションをお届けできるはずです。新体制から生まれる新しいサービス体験に、どうぞご期待ください!

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